ゆずり葉
ゆずり葉 ー河井酔茗ー
子供たちよ
これは譲り葉の木です
この譲り葉は
新しい葉が出来ると
入り代わってふるい葉が落ちてしまうのです
こんなに厚い葉
こんなに大きい葉でも
新しい葉が出来ると無造作(むぞうさ)に落ちる
新しい葉にいのちを譲って――
子供たちよ
お前たちは何を欲しがらないでも
凡(すべ)てのものがお前達に譲られるのです
太陽の廻(まわ)るかぎり
譲られるものは絶えません
輝ける大都会も
そっくりお前たちが譲り受けるのです
読みきれないほどの書物も
みんなお前たちの手に受取るのです
幸福なる子供たちよ
お前たちの手はまだ小さいけれど――
世のお父さん、お母さんたちは
何一つ持ってゆかない
みんなお前たちに譲ってゆくために
いのちあるもの、よいもの、美しいものを
一生懸命に造っています
今、お前たちは気が附かないけれど
ひとりでにいのちは延びる
鳥のようにうたい、花のように笑っている間に気が附いてきます
そしたら子供たちよ
もう一度、譲り葉の木の下に立って
譲り葉を見るときが来るでしょう
(タイムカプセルを開けました)
今日は旧6年3組のクラス会に出席してきました。
1989年に小学校を卒業してから28年。
当時12歳だった私は40歳になっていました。
小網先生から「アトランダム」(学級通信)が配られました。
そこには国語の時間に教わった「ゆずり葉」
という詩が書かれていました。
クラス会が終わってから、
この詩が頭から離れません。
明確な言葉は持ち合わせていませんが、
私の子どもや、教え子の顔が浮かんできました。
新しい年を迎えるにあたり、
先生から、大切なメッセージを受けとることができました。
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